先日、当センターにおいて、農家さんで働いていた技能実習生を改めて在留資格「特定技能1号」で招へいするための手続きが完了し、在留資格認定証明書が交付されました。
これまで外国人技能実習生として受け入れ、実習が終了して帰国した後に、引き続き働いて欲しいと望み、新たな在留資格である『特定技能1号』への移行を試みた、というケースでした。もちろん外国人さん側もそれを望んで実現できたことですので、双方がまた共に働きたいと思う環境での技能実習だったということは大変喜ばしいことですし、ぜひまた日本でご活躍いただきたいです。
今回の特定技能での在留資格取得は、制度が開始されたばかりということもあり、全国的に見てもまだ件数の少ない稀な事例であったようです。
左図の法務省が公表している最新のデータは6月末ものですが、その時点では農業分野での特定技能外国人の数は2人となっています。他の分野に関しても、この時点では件数がまだ非常に少なく、前回ご紹介した建設業に関しては0人となっています。
その後の動向が気になるところですが、3か月ごとに記録していく予定とのことですので、データが更新され次第随時ブログでご紹介していきたいと思います。
※なお、9月27日の読売新聞に、外国人材 「特定技能」取得271人との記事が掲載されており、これは最大見込みの0.5%に当たる人数となっています。
まだまだこれからという制度ですが、日本の労働力不足の対策として期待されている特定技能は、今後受け入れを希望する事業者が急激に増えていくことが予想されます。
さらに、この特定技能での受け入れ人数には制限があります。
表1~3は、各分野ごとの運用方針について、平成31年3月に法務省入国管理局が定めたものです。
表3によると、今回当事務所で受け入れ手続きを行った農業分野での受け入れに関しては、5年で36,500人としており、全国の農業を行う事業者さんの数を考えれば決して多くはありません。
他の分野に関しても同様で、同事業者同士の取り合いになることが予想され、早く申請した者勝ちという状況にあります。
ただし、この特定技能での在留資格取得には、申請手続きにおいて厳しい審査を通過する必要があります。
申請から在留資格認定証明書の交付までには、多数の書類の準備・作成が必要であり、新設された制度ということもあって出入国在留管理局での審査にも時間を要しています。
当然その審査では、受け入れた外国人を不当に扱うことがないか、労務関係の法令違反がない適切な労働条件となっているかなどを厳しく見られます。
今回の申請で感じたのは、その審査の中でも外国人を住まわせる住居について、家賃を天引きする場合にはその金額の根拠となるものの提出などが必要となり、他の在留資格と比べても求める書類や確認事項が非常に多いということでした。
特定技能分野でのパイオニアとして、特定技能外国人の受け入れを希望される事業者様が円滑に手続きを進められるよう、今後も尽力していく所存です。