2020年1月30日に、出入国在留管理庁が「特定技能にかかる国内試験の受験資格拡大」を発表いたしました。
これまでは、日本国内での特定技能にかかる試験を受験できるのは、原則、中長期在留歴のある者などに限っていました。それを、今後は中長期在留歴がなくても受験可能とするもので、初めて来日した3カ月以内の短期滞在者でも試験を受けられることとなります。観光やビジネスで訪れる外国人が受験できるようになるとのことですので、母国では試験の実施がない、試験日と都合が合わないという方も、来日して受験することが可能となる見込みです。
この見直しの背景には、政府が特定技能制度開始の当初見込んでいた5年間の受入れ人数が34万人であったのに対し、実状は1019人(2019.11末時点)にとどまっており、特定技能の在留資格を得た外国人数が見込み人数に遠く及ばなかったことがあります。試験の受験機会の乏しさや、資格取得者と企業のマッチングがうまくいっていないこと、制度・試験についての情報の周知が行き届いていないことなどがその要因と考えられています。
当事務所も、政府の情報提供の遅れや不足、分野ごとに情報が分散されていることからの収集の困難さを以前から感じており、このサイトを通じて、少しでも皆様に分かりやすい情報が提供できればと努めてきたところです。
今後は政府もそういった反省を踏まえ、今回の受験資格拡大が行われる他にも、技能試験・日本語試験の最新情報を多言語で周知するなどの情報公開の充実、地方自治体とハローワークの連携を進めるなどのもマッチング支援なども行っていく方針です。
なお、国内受験の受験資格の拡大は、2020年4月1日以降に実施される試験より適用されます。今年の3月31日までは従来どおりの取り決めでの試験実施となっておりますので、ご注意ください。
「特定技能」に係る試験の方針について(令和2年4月1日施行)
http://www.moj.go.jp/content/001313269.pdf
法務省が出している具体的な改定内容は、下記のとおり
<令和2年3月31日まで>
国内試験の受験資格が認められない方
(1)中長期在留者でなく,かつ,過去に本邦に中長期在留者として在留した経験がない方
(2)退学・除籍留学生
(3)失踪した技能実習生
(4)「特定活動(難民申請)」の在留資格を有する方
(5)技能実習等,当該活動を実施するに当たっての計画の作成が求められる在留資格で現に在留中の方
<令和2年4月1日以降>
例えば,在留資格「短期滞在」をもって本邦に在留する方でも受験が可能(中長期在留歴がなくても受験可能)となります。
また,在留資格を有する方であれば上記(1)~(3)に該当する場合でも国内において受験することが可能となります。
※ただし,試験に合格することができたとしても,そのことをもって「特定技能」の在留資格が付与されることを保証したものではなく, 試験合格者に係る在留資格認定証明書交付申請又は在留資格変更申請がなされたとしても,必ずしも在留資格認定証明書の交付や在留資格変更の許可を受けられるものではないことにご留意願います。